2010年4月23日

環境委員会 〜鳩山25%削減に異議ありA〜

古川(禎)委員  (前半より続く)
 さて、いわゆる前提条件でございます。三つの条件が要件となって二五%の削減目標が施行されるというものですね。我が党の近藤三津枝委員初め多くの議員からもこの点何度も指摘がされておりますけれども、この前提には客観的な基準がない、内容がよくわからない、いわばこれは政府一任である、これは法律としていびつではないか、こう思うわけです。
 先日、内閣法制局長官が、決してこれがだめだというふうにはおっしゃらなかった。しかし、だからといって、客観的、外形的にそういうものだということをおっしゃったのであって、国民の権利を制約し、義務を課すというその内容の重さを考えたときに、これは単純に外形的なことだけでよしとするものではないと私は思うんですね。
 この法律の立て方は非常にいびつだ、問題があると私は思っておりますが、大臣、いかがですか。

小沢国務大臣 これもたびたび申し上げてまいりましたけれども、確かに、いわゆる条件つきの目標、条文というのは、そんなに例があるものではありません。そういった意味では、珍しい法律だというふうに思います。
 しかし、なぜこういう法律の構成になったかというと、国際合意がまだないからであります。国際合意ができていれば、それは一つの数字でおさまります。国際合意がない段階で、しかし、先ほども山本委員の御質問にお答えしましたが、マイナス六%という数字から、二五%というある意味では乖離のある目標を掲げ、そしてそれに向けて政府が政策をやっていく、あるいは国民の皆さんにお願いする、そのためには、やはり基本法というものをつくった方がよかろうと。既に、民主党としても、さきの選挙の前に法案も提出して選挙に臨んできた、こういう経緯もある。こういうことの中で、必然的にそういった国際交渉をにらんだ条文になった。それは、法制局的にいっても決して法律としておかしいものではない、こういう判断でございます。
 さらにはまた、さっきも申し上げましたけれども、これは本当に使い勝手がよくて、国際交渉のときには大変有益であります。

古川(禎)委員 国際合意がないから、国際交渉の途上であるからということでございましたが、であるならば、我が党が提出しております低炭素社会づくりの法案の方が、論理的にも非常にすっきりして、シンプルでいいんじゃないかなと思ったところです。
 この前提条件について、やはり直観的に気になるのは、「意欲的な目標」という文言なんです。しかもこれは、意欲的かどうかというのを政府が判断する。政府がどういう基準で判断するかわからない。
 結局、大したことない目標であっても、ああ意欲的だなということでもって解除されてしまうんじゃないかというふうに心配をしてしまうんです。同時に、これは目標であって、達成しなかった場合のペナルティーはないんですね。これは事実上条件とはなり得ないのではないかという心配をしています。
 そしてまた、仮に条件となるにしましても、これがまた政府の判断にゆだねられているわけです。条件に適合したと政府が言ってしまえばもうそれまでだということになりはしないかなという心配をするわけです。
 なぜ心配をしてしまうか。心配し過ぎだ、疑い過ぎだ、こうおっしゃるかもしれないが、しかし今までがそう心配をしてしまうような説明ではなかったのか。
 ですから、この懸念を払拭するためにも、やはりきちんとこの部分についての説明を尽くされるべきだと思いますが、いかがですか。

小沢国務大臣 条件を明快にしていくというのは、これはなかなか大変でございます。  例えば、もし具体的な案がありましたらお教えをいただきたいと思うんですが、私は、一つの基準としては、IPCCの、先ほど言っている、先進国であれば二五から四〇というような数字に合致しているかどうかというのは一つの基準としてあり得るんだろう、こういう話は申し上げておりますけれども、それ以上、例えばかちっと数字を決めるとか、あるいはまた国の名前をはっきりさせるとか、そういった国が入ったらばとかいう話は、これは法律としては逆になかなか難しいところがある、こういうふうに私は思っています。
 でありますので、そういった意味では、意欲的という話は、先ほど申し上げましたように、一つの基準としては、IPCCのいわゆる先進国基準、これは一つ該当できるものというふうに思っております。あとは、条件をはっきりさせるということはやはり難しいので、今のような表現ぶりで国際交渉に臨んでいくか、特に、我が国外務省は、ぜひそういう形で臨ませてくれ、こう言っておるわけですね。手のうちを明かしたくない、外交の手段としてこういった表現でやらせてもらいたい、こう言っているわけでありますが、こういった数字でいくか、あるいはもう最初から、本当に丸々一切条件なしでやるか、私はどちらかだと思っておりまして、もっとわかりやすい条件をつけていくというのは法技術的にも大変難しい、こういうふうに思っておりました。

古川(禎)委員 外交交渉上、機密性と裁量が欲しい、これはもう当然の話で、理解をするところなんですね。
 しかし、この法案は、結果的に国民の権利を制約して義務を課すことになる内容を持っているわけですね。そういう性質を持っているこの法律において具体的なことを書くことが難しいというのであれば、それは法律の組み立て方、法律のつくり方そのものに問題があるのではないかということを重ねて指摘いたします。
 さて、いわゆる真水が何%かという、これまた大きな問題がありますね。これは直接的に国民生活あるいは国内産業に影響を与えるわけですから、これが明らかにされていない状況のままこの法案審議に突入したということは、やはりこれは遺憾であるということをまず申し上げなきゃいかぬ。
 と同時に、真水が何%かということは、それは逆に言えば、海外からの排出量の購入が幾らになるかという問題でもある。これはまさに、国富がどれだけ流出してしまうかという大きな問題でもあるわけです。
 ですから、こういうさまざまなことを考えたときに、私は、一つ私の意見として申し上げたいことは、この排出量取引というものが、温暖化対策の中で、国際的にも議論の中で大きな位置を占めておるようですけれども、果たしてこれが妥当なものだろうかということについて、いまだに腹にすとんと落ちないところがあるんですね。
 二酸化炭素の排出量の総量を抑えたいわけですよね。しかしながら、この排出量取引というのは、発生源を移動させるだけの話であって、別に発生量が減るわけではないわけですから、ただ単に金融商品をこしらえた、いわば金融ビジネスの一つのチャンスを提供したというふうに指摘をする向きも根強くありますけれども、やはりその懸念はぬぐえないと私は思うんです。
 例えば、途上国のCO2排出を減らすために先進国が力を合わせて何か援助をしましょう、そのかかった分のお金を世界の先進国で分担して持ちましょうよというような話、そのためにお金を出すというんだったらわかりますよ。しかし、排出量取引というのは、本来的にそういう性質のものではないですね。そこで動くお金というものは、CO2を削減するためのお金ではないわけです。
 これは、さまざまなそれぞれの価値観にさかのぼるようなそういう深い意味合いを持っている、私はそのように思うんですが、大臣、政治家個人としてどういうお考えをお持ちでしょうか。

小沢国務大臣 初めて同感できるような御意見を賜りました。 
 ただ、私は、これが有効ではないと言うつもりは全くございません。ただ、委員がおっしゃられた、排出権をあっちこっち売り買いしたって別に減らないじゃないかという点、そこは全く同感であります。
 ですから、私は、この排出量取引制度にとって大事な話は、とにかく上限を決めて全体の量をコントロールしていくことが必要だというのが一点と、それから、あともう一つは、いわゆるマネーゲームみたいな話で使われるようなことがあってはいけない、この二つは大変重要な話だ、こう思っております。
 あともう一つは、私はこれが有効ではないと言うつもりは全くありませんし、ですから中に出させていただいたわけでありますけれども、これがすべてみたいな話は、さっきも申し上げましたけれども、イデオロギー論争みたいな話で、これがすべてで、これをやるかやらないか、生きるか死ぬかみたいな議論とは違うんだろう、こう思っておりますし、ある意味では日本的な特性も踏まえた、しかし何とか全体をコントロールできるような制度づくりに役立つものをやってまいりたい、そう思っているところであります。

古川(禎)委員 ありがとうございました。
 温暖化対策というものは、化石燃料への依存度を下げて、自国のエネルギー安全保障を確保するチャンスである、同時に、次世代エネルギーをめぐる覇権とビジネス拡大を実現するチャンスであります。したがって、各国とも、経済力、技術力、持てる力をフルに稼働させて、国益をかけてしのぎを削っているわけですね。熾烈な戦いをやっておりますよ。当然、各国ともこれは戦略的に動いているはずですね。  ところが、我が国の鳩山総理、世界の議論をリードする、諸国の背中を押していく、その心意気はわかるんですけれども、立派なんですけれども、しかし、大事な我が国の国益なりはどうなっているんだろうか。外交交渉における主導力にしても、実際、議論を左右しているのは、先ほども話がありましたけれども、日本じゃないんじゃないか、日本の存在感は薄いんじゃないか。むしろ、自分だけが一生懸命、自虐的に狂奔していく姿。そして同時に、国益をしっかり守っていくんだ、そういう国家戦略が私はどうしても感じられないんですね。これが悲しいんです。
 これは、例えば先日の中国海軍の我が海上自衛隊に対する挑発行動、あるいは韓国による竹島の不法占拠、あるいはまた、中国で先日、日本人の容疑者が死刑執行されたわけだけれども、あのときに総理は何と言ったか。日本国民の理解を得るように努力すると。どこの国の総理なんだろうかという気がするんですね。国家主権だとか国益を守るというような、そういう熱いものを我が国のトップにちゃんと感じたいんですよ。それが感じられないから、心配をして、さんざっぱらこうやって質問するわけなんです。
 我が党の低炭素社会づくりの法案は、これは浮ついていませんよ。これは、二十の分野で今後十年かけまして集中的に地に足のついた実績を重ねていって、国際交渉に左右されることなく、これは法律の組み立てがそうなっています、低炭素社会をつくる、つまり新しい文明社会をつくるという、明確な現実的な目標と道筋を持った法律案です。
 そもそも、熱効率性だとか新エネルギーの開発とか有害化学物質の除去なんということは、これはCO2の削減ということをわざわざ言わなくても、経済活動の要請なんですから、流れとしては企業はやっていくんですね。しかし、そこに政府が後押しをしてやろう、支援をしてやろう、これが正しい姿勢だと私は思うんです。そこまで高い目標を掲げて、これが我が国にとって致命的な痛手になるかもしれないという心配をしている人に対して十分有効な説明もないままに、このまま突っ走っていっていいのかなと。
 大臣、日本だけが、清く正しく一生懸命、そういう情念ばかりが先行して、冷静な思考を失ってはいませんか。だから、国民に十分な説明をして理解を得る、そういう基本的な手続すら十分でない、なおかつ、大急ぎで法制化をしようとしている、そういう状況なんじゃないですか。大きな問題ですね。この地球の環境、自然環境、人間が人為的な行動によってそこに何かの影響を与えようというわけですから、これは大変大きな作業です。不確定な要素も多くて、複雑で難しい施策に取り組むというわけですから、これは一年、二年かけてじっくり議論してもいいんじゃないですか。なぜそんなに急がなきゃいけないのか。十分な説明もないままに、なぜそんなに急がなきゃいけないのか。どうですか。

小沢国務大臣 これはやはり意見が違いますね、残念ながら。そんなに急いでいるというつもりはありません。本当に必要なことを、今やらなければいけないことをやろうとしているだけだ、こう思っています。
 国益の考え方というのはいろいろあるんでしょうが、委員のおっしゃられる国益という話が何なのか、ちょっと私、この問題に関してはわかりません。要は、排出権を買わざるを得なくなってお金が外へ出ていく、こういうお話を言っているのかもしれませんが、実は、朝、斉藤議員が自民党の皆さんに御質問していたように、いわゆる海外の排出権を削減して、それをある意味で日本のクレジットとしてカウントしていくという話をもっと前向きにとらえたらどうか、こういう御指摘がございました。私は、この間の衆議院の本会議でも、そのことを私は評価したいと思うというふうに申し上げたところでもあります。
 同時にまた、苦労を強いる、こういう大前提になっているわけでありますが、国民の皆さんには、太陽光パネルを設置してもらうことによって、快適で、もうけてもらおうと思っているんです。そして、要は、いわゆる断熱の壁をつくってもらって、二重窓を設置してもらって、そして熱効率をよくして、電気代を減らしてもらおうと思っているんです。それを負担する負担の仕方という話が一時的にかかりますので、それに対しては、いわゆるファイナンスのスキームを近く発表したいと思っているんです。私は、国民の皆さんが、何にも困ることなく、快適で安全で安心な生活を手に入れて、なおかつCO2が削減できる、そういう道筋をロードマップでは示しているつもりなんです。
 でありますので、何かちょっと、余りにも古川委員の方が生まじめ過ぎて、もう大変だ、こういう思いが強過ぎるような気がいたします。

古川(禎)委員 国民は、快適で、もうけながら、もって温暖化対策ができるのであると。環境と成長は両立するのだといつも言っておられますね。そのようにお考えなのだと思います。であるならば、ロードマップにしても、やはり公平なモデル、そこに疑義があるのであれば、指摘する向きがあるのであれば、それに対してきちっとした説明をして、環境と成長は両立するんですよということを説明いただくということだと思うんですね。
 このロードマップで、一点だけ最後に指摘させていただきます。
 二〇二〇年に一九九〇年比二五%削減するためには百兆円の追加投資が必要で、それによって、二〇二〇年にGDP、雇用とも〇・四%増加、全国民で所得が増加し、GDPはゼロないし〇・七%改善、失業率もゼロないし〇・一ポイント改善ということなんですね。十年かけて百兆円ですよ。毎年十兆円ですよ。百兆円投資して、これは改善というよりは変化じゃないんですか。しかも、この数字を出すのには、相当やはりモデルで無理をしたのではないかという指摘が先日来あるところですよ。こういう状況の中で、環境と成長が両立するんだということをずっと言い続けられても、生まじめなために、ああそうですねと心から納得できない人々はいっぱいいるわけですね。
 責任者として、ここはやはり、先日の委員会からずっといろいろな委員から指摘がありますけれども、きちんとした数字を出した上での法案審議だということを再三にわたって言っているわけですから、そのような誠意ある委員会審議というものをお願いしたい。
 以上、終わります

4月23日、衆議院の環境委員会にて質問しました。
質問風景は衆議院のホームページでご覧になれます。