2010年4月9日
投機マネーに経済規律を


○小宮山(泰)委員長代理 次に、古川禎久君。
○古川(禎)委員 自由民主党、古川禎久です。
七日に政変のありましたキルギスです。
事実上、政権が崩壊したとも報じられておるわけですけれども、外務大臣、邦人の安否、それから我が国からの投資の保全につきまして、その状況について御報告をお願いします。
○岡田国務大臣 御指摘のように、キルギスで、最近の原油価格上昇による生活困窮などによる国民の不満の高まりの中、四月七日、首都ビシュケクにおいて、野党勢力など反政府デモ隊と治安部隊との間で衝突があり、これまで、七十名以上の犠牲者、それから一千名を超える負傷者が発生をしております。
このため、現地時間七日正午に、情報収集と邦人保護に万全を期すため、現地では、丸尾駐キルギス大使を本部長とする対策本部を設置したところでございます。
現地には約百三十名の邦人が長期滞在しておりますけれども、これまでのところ、邦人が被害に遭ったという情報はございません。また、これまで、キルギス在住の邦人等について、治安情勢と安全対策に関する情報を提供するとともに、治安悪化に備えた注意喚起を行ってきているところでございます。
また、キルギスへの我が国の投資は、中小企業が数社、たしか三社だったと思いますが、進出しているところでございますが、右企業の財産等の保全については、緊急対策本部が緊密に連絡して、万全を期しているところでございます。
八日には野党側党首を首班とする臨時政府が発足したというふうに聞いておりますが、事態の今後の推移は予断を許さず、我が国としても、一刻も早く事態が収拾し、民主主義と憲法秩序が回復されることを期待しているところでございます。
○古川(禎)委員 対応において遺漏なきをお願いいたします。
さて、今度の租税条約の改正についてですけれども、タックスヘイブンへの規制強化という世界的な動きが背景にあるものと理解しております。一昨年の金融危機を教訓にするならば、私は、世界的に活動する経済主体に対して、その影響力に見合う規制ないし経済規律が求められていると考えております。その観点から幾つか御質問をさせていただきます。
一昨年の金融危機で明らかになりましたように、巨大化した投資資金は、人々の人生を破壊する力を持っております。投機マネーが世界をばっこしまして、額に汗をしてまじめに生きる人たちを食い物にするさまというのは実に浅ましく、壮大なる不祥事だと私は感じております。まさに人類の英知が試されている場面だとも言えると思うんですが、そのためには、やはり金融資本、投資ファンドも適切に監督されるべきである、監督されなければならないと考えております。
今回の改正議定書におきましては、銀行秘密だからといって情報提供を拒めないということとはなっておりますけれども、投資ファンドについては規定がありません。人々の日々の勤労の成果にはしっかり課税をされながら、こうした巨額資本が、事実上、租税回避の状態にある、野放し状態にあるという現実は、やはりこれは社会正義にもとるんだ、こう思っております。
現在、欧州連合、EUでは、ファンド規制について議論がいよいよ最終局面を迎えております。特に、EUの域外への規制をめぐって、シティーを抱えております英国と、そして規制積極論のドイツ、フランスの対立があるというふうに聞いておりますが、いずれにしましても、リーマン・ショック後の一つの節目になるだろう、今後、我が国がEU各国と結んでいる租税条約にもいろいろな影響が出てくるだろうと思うんですが、見通しについてお尋ねをいたします。
大臣、一国の外相という以前に、ぜひ、政治家として、資本主義の暴走、こういうことに対してのお考えをお聞かせください。
○小宮山(泰)委員長代理 武正副大臣。(古川(禎)委員「大臣、大臣」と呼ぶ)まず、武正副大臣。
○武正副大臣 古川委員にお答えをいたします。
今の、特にファンドに対する規制という御質問でございますが、今般の租税条約の情報交換規定の改正については、いずれも国際的脱税、租税回避行為の防止に向けまして、情報交換ネットワークの拡大を図るものであります。
EUにおけるファンド規制の動きについては、いわゆるヘッジファンドなどの投資事業体に対して情報開示等を義務づけるなどの規制強化を検討していると承知をしております。ことしの三月十六日のEU財務相理事会で採択されるはずでありました代替投資ファンドマネジャー指令案については、さらに数週間の調整が必要として議論を延期されまして、六月末までの合意を目指していると聞いております。
仮にそのような規制強化が実現する場合には、今回の租税条約の改正とも相まって、ファンドに関係する情報についての交換を通じまして、EU諸国との間の適正公平な課税の確保に向けた協力が一層促進されることを期待しております。
○岡田国務大臣 少し総論的に申し上げたいと思いますが、私も、やはり投資マネー、もちろん、それは資本主義ですから非常に有用な部分もあるんですが、それが余りにも短期的になって、投機的になるということは、さまざまな弊害もあるというふうに思っております。そういうことに対して、もう少し透明性を高める、あるいは投機的なことについては一定の規制を考えていくということは、流れとしては私は正しい流れであるというふうに考えております。
いろいろな議論がありますが、例えば課税の問題なども、そういった投機的なマネーに対して課税をする、そしてそれをむしろ貧困とか人類が抱えるさまざまな問題に使っていく、そういう議論も、例えばフランスなどを中心に国際社会の場でも行われておりますが、そういったことに対しても日本としても積極的にかかわっていく、そのことが必要だというふうに思っております。
○古川(禎)委員 ありがとうございます。
人類史的なこういう場面において、いわば日本の文明観というものも問われているような場面だと私は思いますので、ぜひ、今御答弁いただいたように、前向きに、意欲的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
さて、租税条約ですが、本年三月の末現在で五十八カ国と結ばれております。このうち、中近東地域では、イスラエル、エジプト、トルコの三カ国のみ、アフリカ地域に至っては、南アフリカ、ザンビアの二カ国のみの締結でございます。けれども、アラブ首長国連邦はあのドバイも構成員でありますし、サウジアラビアでは、先日、日本企業がイスラム保険などを販売する合弁会社を設立しました。また、アフリカ諸国についても、鉱物資源のみならず、農業や水道事業、電力事業、新しい分野で、今後、我が国とも経済関係を深めていくものと予想されております。
これらの国々との合理的な租税関係を幅広く積極的につくっていくべきではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。
○武正副大臣 委員御指摘の、今、中近東そしてまたアフリカ、租税条約の締結状況、中近東三カ国、アフリカ二カ国、先ほども触れましたように、中南米も二カ国ということで、やはりそうした新興経済地域、そしてまたこれから特に日本が経済的にもより連携を強めようという地域に対して、租税条約締結を急ぐべきであろうということでございます。
中近東については、今、クウェートとは二〇一〇年二月署名をしまして、三月国会提出、アラブ首長国連邦については二〇〇六年十一月交渉開始、サウジアラビアについては二〇〇八年十月交渉開始、二〇〇九年の六月には基本合意ということでございます。アフリカ地域についても、今の御指摘でありますけれども、今、にわかに御紹介できる例はありませんけれども、例えば投資協定については、過日、アンゴラと投資協定の交渉開始というようなこともございますし、そうした租税条約の締結交渉は引き続き進めていくということであります。
今触れました投資協定、あるいは社会保障協定、あるいはまた、先ほど大臣からも触れましたが、EPA、FTAについても、新興国であるブラジルあるいは南アフリカというような形で、こうした経済関係の条約の締結、これをやはり急いでいくということが大事かというふうに思います。
○古川(禎)委員 鋭意進めていただくようにお願いいたします。
古川副大臣、お出かけいただいてありがとうございました。
我が国の法人税率、先ほどもありましたが、我が国の法人税率が高いということがよく言われております。古川副大臣は、去る二月二十六日、都内で講演された際に、できるだけ下げられるのであれば下げられる方向を目指していきたいと述べておられます。富を生み出す企業を元気にするためには、基本的に、私もこれはよい方向だというふうに思っております。
副大臣は、内閣におきましても、中長期の経済政策を立案する国家戦略室長も兼ねておられるとのことですが、我が国企業の発展を考えますときに、国内税制のみならず、世界における経済規律のあり方も同時に見据えながら戦略を練っていただきたいということをきょうは申し上げたいというふうに思っております。
例えばキャプティブ保険のように、タックスヘイブンを利用して事実上の租税回避という実態があるわけですね。もちろん、私は、我が国の各企業、各業種ともに国際的な厳しい競争の中にあるわけですから、何も日本だけがこのキャプティブを規制せよというようなことを申し上げるつもりは全くないんです。ただ、法人税は特にそうですけれども、主として国内で事業を展開している法人からは厳密に徴税されて、一方で、海外でこういう方便があるということになると、これは結果的にバランスを失することになるのではないか。課税の公平、適正が確保されなければ、ひいては我が国企業の発展にとってもよい方向に作用しないというふうに思うわけです。
このような事態を是正するためには、結局は、国際的な連携、協調の中で解決をしていくしかないわけです。温暖化対策のように、日本だけが清く正しくということでやってみても、これはなかなかうまくいくものではないと私は思うんです。ぜひ、国内の税制のみならず、世界経済の規律のあり方、潮流というものもしっかり見きわめていただきながら、スピーディーでクレバーなデシジョンメーキングを伴うような国家戦略を古川副大臣に期待したいと思っておるんです。
お感じになるところがあったら、お答えください。
○古川副大臣 大学の同級生でもあり、名前も一字しか違わないということで、お互い昔からよく勘違いされたりして、その古川委員にお招きをいただきまして御質問いただきまして、まず感謝を申し上げたいと思います。
今、御指摘がございましたように、まさに税制というものもグローバルな視点で考えていかなければいけないというのはおっしゃるとおりだと思います。ぜひ、お時間がございましたら、昨年末に政府でまとめました税制調査会の税制改革大綱をお読みいただきたいと思っておりますが、これは、私どもは、現政権におきまして、税制のあり方を抜本的に見直していこうと。
その見直す視点といたしまして、現行税制もそうなんですけれども、従来は、人や企業というものをその国家が囲い込むことができる、ですから、とにかく中にいる人や企業に対して国が税金をかけたいと思えばかけられるという、いわばそういう囲い込めることを前提の税制が、かつてはどこの国でもとられていた。しかし、御存じのように、今、グローバリゼーションのもとで、本来であればたくさん税金を負担してもらいたい、もらうべきそういう人や企業ほど、税金を納める場所さえも選べるような、そういう時代になっております。
そういう中で、やはり負担すべき人にきちんと負担してもらえるようにするためには、税制のあり方も今までとは根本的に変えなければいけない。やはり、囲い込めるのではなくて、そういう担税力の大きい人ほど、税金を納める場所さえ選択できるような、今もキャプティブのお話がありましたけれども、タックスヘイブンを利用したり、そういうことができるような、そういう状況の中に適合した税制のあり方を考えていかなきゃいけない。そうした視点で、新しい税制のあり方を考えるに当たっては、税制の仕組みを考えていくべきだということをしっかりと書き込んでありますので、ぜひお読みをいただきたいと思っております。
同時に、そのときに、今御指摘ありましたが、世界の中には、特に、そういう税制上の、タックスヘイブンのような形をつくって、そして、形だけの企業、例えば、私もかつてアメリカに留学していたときに、休みを利用してケイマン島に行きまして、あそこは日本の企業がたくさんタックスヘイブンで会社をつくっているというので、どこにその会社があるのかといって実は探したことがあります。探しましたら、わかりませんでした。多分、どこかの住所の一角に、もう何百とかいう会社の登録だけされているんじゃないかと思いますが、そういう非常にいびつなことが行われているのも事実であります。そういう意味では、税制についての国際的なハーモナイゼーションというものを実現していかなければいけない。そうした視点も、税制改革の大綱の中では書いてあります。
今回、ここの場では租税条約の議論がされておるわけでありますが、やはり今の時代、税制については、一国だけでなく、そういう国際的な取り組みの中で、協調体制の中でフェアな競争が行われるような、そういうところを税制の面からもサポートしていくような、そういうあり方をぜひ目指していきたいと思っておりますので、委員におかれましても、またぜひ御支援を賜れればというふうに思っております。
