2010年5月10日


口蹄疫の発生が確認されたのは4月20日でした。この家畜伝染病にかかった牛・豚などは、殺処分するしか対策はありません。一頭でも感染すれば、全頭を殺し、穴を掘って埋めなければなりません。生産者にとっては、経済的な損失のみならず、家族のように世話をする家畜を目の前で殺処分されるわけですから、精神的ダメージははかりしれません。
ですから、発生が確認されたら直ちにあらゆる手だてを講じて感染を防止し、政治・国・自治体がしっかりと農家を支えることが必要なのです。その上で、何が原因であったかをしっかり解明して再発防止に努力する、というのが政治のあるべき姿だと思います。
では農政の最高責任者である赤松農林大臣の対応はどうだったか。発生が続く4月30日から中南米に「外遊」です。先方との約束もあるでしょう。しかし先方は畜産文化をもつ国々です。口蹄疫発生に対処する陣頭指揮をとらなければならないので、申し訳ないが今回は予定を変更させてほしい、といえば当然のこととして理解してくれたでしょう。むしろ、口蹄疫対策をほったらかして来訪する農林水産大臣とは何者か、といぶかしく思われたのではないか、とさえ思います。ちょうど、安全保障の最高責任者の首相が海兵隊の戦略的意義を初めて理解した、と発言して諸外国からあきれられたように。
結局、赤松農林大臣が来県したのは5月10日。発症から三週間後でした。宮崎県庁で知事・県議会議長・国会議員との会談が設けられました。
その場で大臣に現状と対策について話をしようとした私に対して、大臣から、「自民党の同席は許したが発言は許さない。」「参院選対策うんぬん・・・」との発言がありました。なんたる認識でしょう。
畜産は宮崎の基幹産業で、県そのものが潰れてしまうような危機です。県全体が緊張し、疲労困憊し、不安にさいなまれています。ましてや、かわいい家畜を全部殺処分しなければならない農家の苦しみや悲しみは筆舌に尽くしがたい。それがわからずどうして農林水産行政を担えるのか。命の基(もとい)である食の責任者となる資格があるのか。
日々寄せられる地元の悲痛な声をしっかり聞いて対策を議論しようとすることを「選挙対策」としてしか認識できない人物が、人と命にかかわる責任者となっているのは、異常であり、恐ろしいことです。
「コンクリートから人へ」という前に「選挙より人を」でなければならないと思うのです。

